#9 辛いスパイス、甘いスパイス

以前の投稿から3ヶ月も経ってしまったわけだけど、この3ヶ月間は結構しんどい期間だったな、と思う。

 

環境が変わった。というか役職が変わった。あなたならできるよ、と大好きな先輩方(本当に良い人たち)が与えてくれたせっかくのチャンスだし、と思って挑戦して、実際に環境が変わるまでは良かったな、と今振り返れば思う。5月、今まで教えてくれていた人がいなくなって、実際に1人で動き出してからが色々すごかった。中身はちっとも成長しないのに、装備だけが強くなって(肩書だけは良い)、レベルの高い敵と戦ってこい、と言われた気分。いやいや、こっちはもう少しスキルとかレベル上げしてから戦うはずだったんだけどなー、と思いながら、精いっぱいで過ごす毎日。優しい言葉をかけられると、すぐに泣いてしまいそうだった。

 

まあそんなこんなで、しんどかったけど、ずっと水の中でもがき続けていたけど、7月になってやっと息継ぎの仕方がわかってきた。まだ苦しさを感じる時も少なからずあるけれど、私の場合は、何事もコツと要領を掴めば、少しは生きやすくなるタイプだ。この苦しかった時間も、人生を美味しくするためのスパイスだったのかなと今なら思える。

 

スパイスといえば、最近、食生活の中でもプチブームがやってきた。まずチャイにハマった。いろんなチャイベースやチャイの素を買ってはお家で試している。いろんなタイプがあって面白い。今度は茶葉から煮出してみたいな。

心の余裕が生まれたのもあって、お休みの日に久々に映画を見に出かけた。お昼ご飯をどうしようかなと思ってぶらぶらしていたら、麻辣湯のお店に出会った。以前、女優の吉川愛ちゃんがYouTubeで紹介していたのを見たことがあって、食べてみたいなと思っていたので、同じお店ではないものの、お店と出会った瞬間、完全に「初麻辣湯チャレンジ」の気分になっていた。

食べるまで、麻辣湯はキムチ鍋と同類だと勝手に思っていたけど、それは大きな間違いだったと気づいた。ピリ辛なのは想像通りだったけど、その奥にいるスパイスたちの旨みがたまらなく美味しい。新たな扉を開いてしまった気分。

最近インドカレーや薬膳カレーも食べたいなと思うことが増えたし、なぜかスパイスの世界に誘われている。

 

こんなことを書いていて思い出したけど、今年2月に購入したチョコレートの中にスパイスのチョコがあったり、クッキー缶もスパイス満載だった。

 

今年はスパイスと出会い、スパイスが度々振り掛けられる年なのかもしれない。でも、辛さも、甘さも、どんなスパイスでも適量であれば料理を劇的に美味しくさせるんだなと思うと、ちょっとくらいそんな時があっても良い気がする。

 

今度のお休みは、インドカレーを食べに行ってきます。

#8 クリームドーナツの中身

最近家の近くにできて、ずっと行ってみたかったパン屋さんに朝から行ってきた。塩パンと、カスタードクリームドーナツ、後は名前をはっきり覚えていなかったけど「胡桃となんとかのパン」。ちなみにパンの中でも特別塩パンと胡桃の入ったパンが好きで、初めて行ったパン屋で塩パンとか胡桃、と名前に入ったパンがあると必ず買ってしまう。

 

家に帰ってきてから楽しみにしていた塩パンを食べる。大正解。上に粗めの塩がのっているのも、周りがカリッ、中がジュワッとなるのも、塩加減も最高。ああ、出会ってしまった。もう自分の好きな塩パンを求めて遠くまで行く必要がなくなって嬉しい。

 

おやつに母と一緒にカスタードクリームドーナツと「胡桃となんとかのパン」を食べようと思って、茶色の紙袋をのぞくと、めちゃくちゃ見た目が似ている。というかほぼ同じ。困った。まあどちらも半分ずつにして母と食べるつもりだったし、味でわかるかと思った。一つ目。たぶんカスタードクリームドーナツ。これが本当に美味しかった。カスタードクリームがこれでもかと詰め込まれていて、お店のトングで持った時も感じていたけれど、手で持ってみるとずっしりとその重みを感じる。なのに、カスタードが甘すぎない。バニラの香りがふわっと広がって幸せの味。うわー、美味しいね、これなら半分こしなくても一個食べられるよね、今度また買いに行こうと話しながら二つ目。こっちが胡桃だ、と思いながら割った。溢れ出るカスタード。あれ、と思いながら二人共食べ進める。こっちの方がちょっと小さかったし違うパンだよね、生地に胡桃が入ってるんじゃ、と話しながら食べ終えた。二人とも少し考えこんで沈黙の数秒の後、同じじゃない?と母が笑い出した。同じだった。どうやら、違う商品の札がついていて、私はお店の中で違う二箇所に置かれていた、全く同じカスタードクリームドーナツをそれぞれの場所から一つずつ、計二つ買ってきたらしい。私と母は、全く同じ二つのドーナツをそれぞれ半分に割って、結局一人一つ食べるという、謎行動をしてしまった。後でお店のSNSで商品画像を検索したら、「胡桃となんとかのパン」は全然見た目が違って二人で大笑いした。

 

今度はちゃんと、「胡桃となんとかのパン」を買ってこよう。そしてクリームドーナツは一人に一つ。

#7 ひとかけらの幸せ

1月中旬ごろから、百貨店、ショッピングモール、スーパー、あらゆるところでチョコレートが並び始めると、「ああ、今年もやってきた」とワクワクする。

 

幼い頃からチョコレートが好きだった。それもカカオ含有率が高めのもの。中学生の頃、勉強のおともは明治BLACKのミニが30個ほど入ったボックスで、問題集のこのページまで頑張ったら一つ、と決めていた。その習慣は高校、大学と続き、今でも家には必ず黒い箱が置いてある。

 

大学入学と同時に大阪に移り住み、初めて百貨店バレンタインのイベントに行った。私の知らないチョコの世界がそこに。チョコのお祭りだった。大学生の私にとって、ショーケースに並ぶ有名ショコラティエの美しいボンボンたちは正直手が届かない存在だったので、社会人になったら、ここで、ちょっと背伸びして良いチョコレートを買うと決めた。

 

2023年。今年こそ背伸びをする時だと思い、まずはインターネットでバレンタイン催事を調べまくり、チョコ好きで有名なインフルエンサーの方やスイーツ雑誌の編集の方の発信を見てから、百貨店のバレンタインカタログを見る。絶対にこれは欲しいというお目当てをいくつか決めた。

 

早起きをして、開店と同時くらいに到着できるように電車に乗る。福袋だとか、何かイベントの整理券だとか、そのために早起きして並ぶという経験が無いのでワクワクドキドキ。行ってみるとすでにそこには想像よりも遥かに多くの人がいた。朝からこのイベントにこんなにも人が集まっているなんて。バレンタインってすごい。私のように自分へのご褒美で買いに来た人もいれば、誰かのために買いに来た人ももちろんいるだろう。朝早く起きて、準備をして、並んでまで、美味しいものに自分の思いを乗せて届けたい人がいて、そしてそれを受け取る人がいる。そう思うと、何だかこちらまで素敵な気分になる。

 

会場はチョコ好きにとっては楽園だった。目が幸せ。香りが幸せ。ありがとう世界のカカオ農園の皆さん。ありがとうショコラティエの皆さん。ありがとうここにチョコレートを届けてくれた全ての人たち。お目当てを手に入れた後、実際に見たら購入したくなったものもいくつかあり、予算を少しオーバーして幸せなお買い物終了。想定内だし、許容範囲だろう。うん、きっと、多分。大丈夫だ。何てったって社会人の私には「お仕事頑張ったから」という伝家の宝刀がある。

 

賞味期限が早いものもあり、ちょうど仕事がとても忙しい日の翌日が休みだったので、人生で初めての贅沢チョコレートを開けることにした。ゆっくりと静かに箱を開く。美しい。表面の表現が全て違う。写真を何枚も撮った。なぜか深呼吸をして、一口齧った。衝撃。歯に当たった時のチョコレートの繊細さが今まで食べてきたものとは段違いで、その瞬間に香りが広がる感覚に驚き、思わず部屋の中に1人だったのに小さく「えっ」と声が漏れた。ゆっくりと味わう。舌の上で小さなかけらが消えるその時まで風味の世界が口の中で広がっている。また新たな沼に自分から足を突っ込んでしまった、と思った。

 

小さなチョコレート一粒は一瞬で終わってしまうけれど、その一瞬の幸せを楽しんでいる自分、大人なのでは?と自分に酔う。そんなことを思っている時点で考えが子供なのは承知しているのだが、最近ではそのちょっと甘い自己満足で自分のQOLが上がるとも思っているので、客観的にみると「痛い」ようなことも1人でいる時には浸ることにしている。

 

今日も私はチョコレートを食べている。だって、「お仕事頑張ったから」、良いよね。

#6 そっとめくる一頁

Hey! Say! JUMPのドームツアーに行ってきた。初めてのオーラス公演にも行けて、私の「1年」がまた幸せに終わっていった。

 

全体の感想はまた書くかもしれないけど、印象的だったこと、絶対に書き残したいと思ったことだけ先に書いておこうと思う。

 

(もしこれを見てくださっている人がいるとするのならば、ここから書くことは日本のどこかにいるたった1人のオタクの日記ということを前提に読んでいただきたいなと思う。一個人の意見で誰かが苦しい気持ちになるのだけは避けたいので。)

 

今回のツアーは私にとって気持ちの整理というか区切りというか、とりあえず大きな意味を持つものだったな、と思う。43曲も(!)歌ってくれた中、Hey! Say! 7に気持ちの半分くらいは持っていかれたと言っても過言じゃないくらい、揺さぶられた。あの選曲、あの演出。

 

2021年4月11日、圭人くんが新たな道に進む、その卒業式みたいなあの公演を仕事の関係で見られなかった。だから、というのはきっと言い過ぎだし理由としては無理があると自分でも思うけど、「4人が大好き」という気持ちをどこかにふわふわと漂わせたまま、私の大好きだった4人のHey! Say! 7は3人になった。

 

かと言ってこの2年弱、別に受け入れられなかった訳でもなく、むしろすんなりと受け入れて8人のJUMPを応援し、8人が圭人くんの話をするたびに嬉しくなって、笑って、楽しかった。

 

なのにあの瞬間、曲がかかって4人のシルエットが見えた瞬間、ふわふわと漂ってどこにあるかも見えなくなっていた気持ちが、突然はっきりと現れて条件反射的に涙が止まらなかった。4人とみんなで『やんちゃなヒーロー』の「1 2 3 4 go」をドームで目一杯やるのが楽しみだった。彼を待っていた2年半の間何度も、4人が向き合って歌う『ただ前へ』のライブ映像を見た。帰ってきたら4人全員のラジオがまたあるかもしれないって待っていた。勝手に期待して、勝手に落ち込んで、そんなオタクのエゴでしかないモヤモヤした気持ち達が全部綺麗にキラキラと輝いて昇華して、美しく消えていった気がした。

 

圭人くんを忘れるわけではないし、これまで同様4人を応援し続けるし、自分の大好きな気持ちに無理やり蓋をするなんてことはしたくない。オタクの考えなんてそれぞれなんだし、全てのオタクが「3人のセブン」を受け入れなければならない、とも思っていない。あの演出の解釈もきっと三者三様だ。だけど、私は今回のツアーでやっと、あの影が消えた時にやっと、あの頃の4人のHey! Say! 7に「じゃあね!大好きだったよ!素敵な思い出をありがとう!」と大声で言えた気がする。私の中でHey! Say! 7は3人になった。

 

自分の気持ちを言語化するのがあまりに下手で、抽象的な表現ばかりで、自分でも書いていて嫌になるけど、7コーナーが終わった後、最高に素敵な気持ちになれたので「絶対に書いておこう」と心に誓った。

 

これからも笑顔でいてね。

#5 京の町へ 2日目

旅行に行くと、楽しみが多いからか、早起きできる。我ながら、単純だなといつも思う。起きて出る用意をしながらテレビをつけて、チャンネルを回していたら、CNNニュースやフランス語のニュースのチャンネルがあることに気づいた。観光客向けだろうか。さすが京都。このチャンネルをかけていたら海外旅行みたい!!と単純な思考で英語を聴きながら身支度をした。海外旅行に早く行きたい。

 

これのために京都に来たと言っても過言ではない、大本命の朝ごはんは最高だった。土鍋ご飯と鮭の西京焼きと、おばんざいの数々、お味噌汁、お漬物。予約時間に合わせて炊いてくださる土鍋ご飯は、つやつやで、ほわほわで、あまりに美味しくて、大げさでもなんでもなくちょっと泣きそうだった。感動したので、お茶碗に入って湯気を放つ白米だけを写真に収めた。全てが美味しくて、お店の方も素晴らしく良い方々で、また誰かと来たいなと思った。

 

下鴨神社に向かう前に、午前中にやっておきたいことがあった。京都のパン屋さんに行く。和食の朝ごはんを食べておいて何だが、パン屋さん巡りを趣味にしているパン好き人間なので、パン消費量1位の京都でパンを買って帰らないわけにはいかない。徒歩圏内で行ける2軒を巡り、お目当てのパンをつぶれないようにリュックに詰め込んでいざ出発。京都のバス一日乗車券を買って、バスで移動することにした。このバス移動が意外に大変だった。バスに乗って移動するのは別に問題なかったけれど、バス停探しに苦労した。同じ名前のバス停が路線違いでいくつも存在するのだ。あった!と思ったら違う路線のバス停で、道路の反対側に回ってもまた違う路線。最終的に少し離れたところまで歩く、何てことも多々あったのでめちゃくちゃ歩き回った気がする。これもまた一つ勉強になった。京都のバス、侮るなかれ…。

 

下鴨神社に着くと、修学旅行生だろうか、4人グループの中学生らしき子たちがちらほら。懐かしい。班別行動って大人がいない中で自分達だけで行動している!っていうワクワクがあり、ちょっとした冒険みたいなところがあった。今回の旅の目的の一つ、糺の森は最高だった。ずっとここでいたいと思う程、静寂と自然の音が心地よくて、自分のためにこの音をずっと録音して、ヒーリングミュージックとして楽しみたいとさえ思った。できることなら毎日来たい。

 

ゆっくり歩いて糺の森を後にし、出町ふたばに向かう。途中の橋の上から見えた鴨川と奥の山の緑があまりに綺麗で写真も動画も撮った。出町ふたばは「京都のおすすめ」的なブログやInstagramの投稿などで結構な頻度で出ていたので本当に楽しみだった。案の定並んでいたけど、回転が早いし、目の前に並べられた沢山の和菓子たちを見ながらワクワクして待つと苦にならない。お目当ての豆餅を買って潰れないようにそっとリュックの1番上に。これはその日帰宅してから食べた感想になるが、言葉にできない程美味しかった。人生で1番と言っても全く過言では無く、今でも母と「ふたばの豆餅おいしかったね、また食べたいね」と言う程である。

 

さて、お昼ご飯をどうしようか。朝ごはんをしっかりいただきあまりお腹も空いていなかったので、行ってみたかった「ぎおん 徳屋」さんに行ってみることにした。バスに乗って、祇園の方へ。Googleで出てきたバス停の名前と実際の名前が違っていたらしく、一つ乗り過ごしてしまった。でもこれもぶらり旅、って感じで悪くない。祇園四条の駅近くから歩いて花見小路へ。この辺りは一本筋を中に入ると、街並みも古いし、舞妓さんたちもいて、The京都を味わえる。おそらくおやつ時になったら混むんだろうけど、お昼ご飯の時間に行ったのですぐ入れた。建物の佇まいも素敵。葛餅とわらび餅の合い盛りができるそうでそれにした。見た目が艶々で美しい。そしてプルプルのお餅たちの下に冷やすための氷が敷き詰められていたけれど、それもかき氷用に削ってあるので最後は蜜をかけてお楽しみください、とのこと。なんと素晴らしい。そして葛餅とわらび餅の美味しさは言うまでもなく(瞬く間に私のお腹へと消えた)、その氷まで美味しかった。

 

四条通に出てお店を見ながら駅に向かっていたらみっふぃーおやつ堂を見つけたのでずっと食べてみたかった「みっふぃーあんぱん」をゲットした。持ち帰りの紙袋まで可愛い。

 

少し時間がまだあったので、東寺にいってみることにした。結果から言うとこの選択は大正解だった。すごかった。素晴らしかった。本堂に入った時の空気がスッと変わって澄むような感覚が心地よくてずっといられるような不思議な気持ちになった。

 

これにて京都の旅はおしまい。近いからこそいかない土地にこうやってゆっくり行くのもいいなと思った。また行きたいな〜。

#4 京の町へ 1日目

5月の半ば、突然私に3連休×2が付与された。有休を消化しないとな、とは思っていたけど、それが突然やってきた。といっても勝手に消化されるというブラックなものではなく、私の勤怠を管理してくださっている職場の方が「来月のここで○個の有休使ったら3連休にできそうなんだけどどう?」と聞いてくれて、特に他の日に使う希望もなかったので、「それで大丈夫です」と答えた。

 

さて、どうしようか。シフト制で土日休ではない仕事をしているので、連休自体珍しいのに3連休だなんて!!滅多に無いことなので、とりあえずどこかに行って泊まりたい!と思った。旅行好き人間なので、すぐどこかに行って非日常なことをしたくなる。友達を誘おうと思ったけど、みんな土日がお休みの仕事をしていて平日に休みの人なんていなかったので、一人旅をしようと決めた。

そうしたらちょうど、5月末で消えてしまうポイントがたくさんあった(ちゃんとポイントアップ期間にまとめて買い物をした過去の自分に感謝)。

どこに行こう。明確な希望はなかったけれど、とりあえず「森に行きたい」と思っていた。なんとなくずっと緑の中で自然音に囲まれていたいなと思っていたので、「関西 森」で検索。京都の下鴨神社に「糺の森」という場所があるのを知った。けっこう有名らしい。関西人なのに、全く知らなかった。そういえば、幼い頃から遠足や校外学習、友達との日帰り旅、家族とのお出かけ、何かにつけて訪れているのに、下鴨神社も行ったことない。いつも、何してたっけ?京都ってありかも!と思い始めた矢先、Instagramで心惹かれる投稿を見つけた。「京都で食べる完全予約制の朝ごはん」。なんて素敵な響き。心は決まった。

ちなみに、わりと本気で屋久島も調べていたけど、屋久島はこういう突然決まった旅行、ではなくて心の準備をしてから行きたいと思ったのでまたの機会に。

 

1日目は宇治へ。あちこちにうさぎのモチーフがある宇治神社に行ってみたかったので参拝。手水舎にも境内にもうさぎがいて可愛い。お目当ての、これまた可愛いうさぎのおみくじを引いて、お守りを買って神社を後にする。歩きながら気づいた。川の水音と風が心地いい。見渡せば山の緑。私が求めていた風景だ!!友達や家族と来ていたら、なんだかんだ話しながら歩くのでこの自然の良さには気づかなかったかもしれないと思ったら、1人でゆっくり歩くのもいいなと思った。せっかく宇治に来たので、辻利本店に行ってみた。この時期限定の新茶が売っていた。あ、そっか、新茶ってこの時期なんだと初めて知る。母と飲むために小さいのを一つ購入し、なんだか大人だ、とちょっと気分が上がった。その後テイクアウトで買ったボトル入り抹茶の美味しさに感動しながら歩き、気になっていた紫陽花パフェを求めて伊藤久右衛門へ。パフェなんてすごく久しぶりに食べたけど、幸せの詰め合わせだなあと思いながら一瞬で食べてしまった。幸せは一瞬だ。

 

そのままホテルへ。今回のホテル、すごく良かった。新しいということもあり綺麗で、デザインがシンプルで部屋の作りも良かった。お風呂と別にトイレがついている。今回は価格が低めのシャワールーム(浴槽なしタイプ)を選んだけど、1泊ぐらいならシャワーだけで全然平気だし、トイレ別が本当に良い…。快適だった。

晩御飯は事前に決めていなかったので、マップアプリで検索して見つけた、良さげな雰囲気のカフェにしたら大正解。古民家をリノベーションしたであろう内装が、私が大好きな曽祖父の家そっくりでちょっと泣きそうでさえあった。キッシュとスープもすごく美味しかった。

ホテルステイって本当に楽しい。ホテル独特の良い香りがするタオルも、綺麗にベッドメイキングされたベッドの上にパジャマで座って明日の予定を確認するのも、家とは全然違うぼぅっと柔らかなオレンジのライトの中で寝るのも、全部楽しくてウキウキする。あまり泡立ちがよくない備え付けのシャンプーで髪を洗うのも気にならないし、普段見ないテレビ番組なんかつけちゃったりもして、普段しないストレッチもする。そうだ、明日は早起きして本命の朝ごはんだ!と気づいて、スマホのアラームをセットし、急いでベッドに入った。

ひとりでこんなに大きなベットで眠るなんて贅沢だ…と思いながら灯りのスイッチのダイヤルを回した。おやすみなさい。

 

#3 ホットケーキを焼こう

3食の中で、朝ごはんが1番好きだ。なぜかって言われるとうまく答えられないけど、朝ごはんが1番好き。Instagramで素敵な朝食の写真や動画を見捲っているくらい好きだ。とはいえ、普段仕事の日は出来るだけささっと済ませたいので、バナナとかパンとか、大したこだわりもなく、好きと言っている割には粗雑にしている。

 

たまにお仕事がお休みの日の前日に、ちゃんとした朝ごはんを作りたい!食べたい!と強く思い立って、何を食べようかなと考える。最近ある映画でホットケーキを見てものすごく食べたくなっていたので、ホットケーキに決めた。

 

小さい頃、日曜日の朝にホットケーキを焼くのにものすごくハマっていた。ハマっていたというか、ちょっとした習慣みたいになっていた。私の「何か作りたい」という欲求を満たしてくれて、さらに家族みんなが「美味しい」と言ってくれて最高だった。喜んでくれるのが嬉しくて、「日曜日はみんなの為に作ってあげなきゃ」という小さな使命感すら感じていた気がする。

 

ホットケーキを焼こう、と思ったけどミックスがないことに気づいた。買いに行くのは面倒だな、と思っていたらインターネットで薄力粉で作るレシピを発見。次はベーキングパウダーがないことに気づいた。夜遅くにキッチンの引き出しや戸棚をそこら中開けて、やっと小さな箱とご対面した。副産物として、全て開封済みのゼラチンの箱3個も見つかった。過去の自分に反省。またやってしまった。今度このゼラチンで何か作ろう。

 

朝起きて、ホットケーキを作ろう!と思うとちょっとだけ楽しくなる。卵と牛乳を混ぜて、その中に粉類を加えるけれど、その時にあまり混ぜない方がふわふわになる、と知ったのは大学生になってからだった。小さい頃は、ケーキみたいにダマが残らないのが完璧だと信じ込んでいたので、混ぜに混ぜて、どこまで滑らかにできるかが勝負、みたいなところがあった。あの頃の自分に教えてあげたい。

 

ホットケーキって重ねるのが醍醐味だと思っている。その名の通り、ほかほかの、まだ湯気を放つふわふわのケーキが4枚も5枚も重なっているのが可愛い。その上から日光に艶めくシロップをかけるのも夢が詰まっている。ただ、小さいサイズで焼いたとはいえ4枚も食べると多いので、母に2枚あげた。美味しいと喜んでくれて嬉しい朝だった。

 

今日は久しぶりに良い朝ごはんを食べられたな。